介護ソフトっていっぱいあるけど、まずはシェア率が高い人気の介護ソフトを知りたい!ついでにシェアが高いメリット・デメリットも知っておきたい。
国内には約100種類の介護ソフトが存在しています。
あまりに数が多いので、「結局何を選んで良いのかわからない」といった声は非常に多いです。
そこで、本記事では、数日かけて「シェア率」を徹底調査しました。
その結果をランキング形式で発表していきますが、同時に「介護ソフトの口コミ」や「シェア率が高いメリット・デメリット」や「シェア率だけで介護ソフトを選ぶのは危険」といった内容も本記事で取り上げていきたいと思います。
1.介護ソフトのシェア比較ランキング10選
介護ソフトのシェアを徹底調査しました。
調査方法は以下の通りです。
・調査日:2023年2月7日(随時更新)
・調査方法:介護ソフトメーカー95社のホームページの「導入件数」を確認
・ランキング条件:導入件数がホームページ上に記載されていること
・母数の介護事業所数:309,547(厚労省「令和3年介護サービス施設・事業所調査の概況」より参照)
しかし、その結果、ランキングトップ10を作成するに至りました。
ただ、1点注意が必要なのは、導入件数のカウント方法はメーカー毎に異なるという点です。
例えば、A社は「事業所番号毎」にカウントしている一方で、B社は「住所」でカウントしているケースもあります。
また、「無料期間」のユーザーもカウントしていたり、「会社グループ全体」でカウントしているケースもあります。
つまり、導入件数のカウント方法は統一されていないので、言ってしまえば「メーカーの好きなように数字を公表できる」といった現実があります。
そのため、全てを鵜呑みにするのではなく、参考程度にとどめておくことをおすすめします。
とはいえ、全体の勢力図を把握する上では、今回のトップ10は参考になると思いますので、ぜひ楽しみながらご覧いただければと思います。
早速ですが、まずは結果から発表します。
面白いことに、上位4社のシェアが圧倒的に高い事が分かりました。
ソフト名シェア
導入件数
シェア率
運営会社
1位
ほのぼのNEXT
52,000
16.8%
NDソフトウェア社
2位
ワイズマン
44,000
14.2%
ワイズマン社
3位
カイポケ
42,850
13.8%
エス・エム・エス社
4位
カナミック
38,800
12.5%
カナミックネットワーク社
5位
ケアカルテ
14,000
4.5%
富士データ社
6位
Flowers NEXT
6,000
1.9%
コンダクト社
7位
ナーシングネットプラスワン
6,000
1.9%
スリーテン社
8位
福祉の森
5,000
1.6%
日立システムズ社
9位
ナビケアPlus
2,000
0.6%
ナビテック社
10位
CareWORKS21
1,000
0.3%
テクノプロジェクト社
それでは、ここからは上位4位の介護ソフトの特徴と、「本音の口コミ」もそれぞれ紹介していきたいと思います。
1位.ほのぼのNEXTは圧倒的に豊富なラインナップ!
また、ベッドセンサーとの「IoT連携」や、他社連携も積極的に行っているため、大手メーカーながらもチャレンジングな姿勢で多くのファンを獲得しています。
サポート体制への評価も高いため、「ずっとほのぼのを使っています」といった事業所は少なくありません。
それでは口コミを見ていきましょう。
良い口コミ
悪い口コミ
直観的に分かり易いインターフェースのため、記入作業はやり易いです。また、操作が分からない点があっても、サポートセンターで丁寧に対応をいただけるので、大変助かっています。
なんといっても痒い所に手が届かない。なんでそこでこの操作?なんでこのマスタ登録がこの画面なんだ?と悩むことが多くあります。
2位.ワイズマンはクラウド事業のトップランナー
老舗メーカーながらも様々な新商品をリリースし、業界を牽引している存在です。
今では当たり前になった「クラウド」も、ワイズマンは「クラウド」が世に浸透する前から積極的に取り組み、その結果クラウドにおけるシェアも1位となっています。
シェアを獲得できた背景には、「クラウド」へいち早く取り組んだこともありますが、ワイズマンは電子カルテメーカーとしても活躍しているため、医療系の事業所への導入率は非常に高いです。
また、全国に営業所もあるため、営業力という点でもシェアを獲得できたのも頷けます。
それでは口コミを見ていきましょう。
良い口コミ
悪い口コミ
以前、勤めていた介護老人保健施設で使ってました。ソフトの操作・入力画面は割と直観的で分かり易かったので、戸惑うことなく操作できました。ケア記録はタブレット対応していたので、その場で入力作業もでき便利でした。
初めて入力作業を行おうとした時の事です。なになに?機能が多くて全然わからない、クリックする回数が多くない?というのが正直な感想でした。
3位.カイポケは「経営支援」に他社よりも力を入れてきた
例えば、タブレットの無償貸与や、カイポケモバイル(スマホ貸与)、求人支援サービスなど多岐に渡ります。
シェアを獲得できた背景には、卓越した「WEBマーケティング」があります。
誰でも気軽にスタートできるように「無料体験期間」を用意しているだけではなく、インターネットだけでカイポケの良さを伝えられる仕組みがあります。
また、積極的に広告費を投じており、費用対効果を計算しながら顧客獲得を着実に伸ばしています。
それでは口コミを見ていきましょう。
良い口コミ
悪い口コミ
タブレットと連係して使わせてもらってます。どこにいても、記録を確認できるので便利です。又、外周りの際の微妙な空き時間に、タブレットを使用し記録が打てるので、業務の効率化に繋がってます。
記録やフェイスシートが見やすい面があるが、起動が遅かったりするのでイラっとすることもある。タブレットで使用するとパソコンでしか打ちこめないところや、アプリのメンテナンスで1日使えないときがあり大変困った。
4位.カナミックは明確なコンセプトで投資家を唸らせた
ご存知の通り、日本は深刻な「高齢化」と「職員の人手不足」の真っ只中にありますが、そのような社会課題に対してカナミック独自のテクノロジーを活かそうとしています。
実際、国も地域包括ケアを強く推奨しているため、カナミックがミッションとしている部分は、「国の動向」にも合致しています。
そんなカナミックがシェアを獲得できたのは、「介護ソフトの機能が良い」という声もありますが、深堀りしていけば、仕組みやコンセプトで他社と差別化できている結果だと筆者は考えています。
それでは口コミを見ていきましょう。
良い口コミ
悪い口コミ
カナミックは自動反映機能が付いているので、わざわざ転記入力する必要がなく、
事務作業の工数削減には効果的でした。カナミックを通して医療機関との連携もしましたが、写真や動画を送るのにもファイル容量制限が厳しく、画像の圧縮なども手間になり、結局クラウドなどを使って対応することもありました。
2.過去7年間のシェア増加率を分析した結果
ここからは、シェア上位3社の「成長率」をシェアで見ていきたいと思います。
なぜこのテーマで調査したかというと、シェア率だけで、「このソフトはすごく良いソフト」などと判断してしまうのは危険だからです。
最も重要なのは、シェアが増えているのか、減っているのか、そしてその成長率です。
なぜなら、介護ソフト業界は日々変化しているため、数年後には今回ご紹介したシェアランキングが大きく変動している可能性があるからです。
そこで、今回は上位3社の成長率をさらに調査してみました。
もし、今回調査した3社以外で介護ソフトを検討しているのであれば、その介護ソフトの「シェア成長率」をあわせて調べることをおすすめします。
2.トップシェア3社の成長率ランキング
※表はスクロールできます。
順位
ソフト名
成長率(H29-R4)
成長率(R4-R5)
導入件数(H29)
導入件数(R4)
導入件数(R5)
運営会社
1位
カイポケ
46.96%
26.78%
23,000
33,800
42,850
エス・エム・エス社
2位
カナミック
45.45%
21.25%
22,000
32,000
38,800
カナミックネットワーク社
3位
ほのぼのNEXT
23.23%
3.17%
40,900
50,400
52,000
NDソフトウェア社
4位
ワイズマン
4.76%
0.00%
42,000
44,000
44,000
ワイズマン社
面白いことに、現在のシェア率とはほぼ真逆の結果になりました。
例えば、シェア率で3位だったカイポケは、成長率においては1位でした。
一方で、シェア率で1位だったほのぼのNEXTは、成長率においては3位という結果になりました。
このように、成長率はメーカー毎に大きくことなるため、数年もすれば大きく順位変動する可能性があります。
しかし、いまは成長率が高いメーカーだとしても、法改正や不況の波に煽られて成長率を下げることも考えられるため、過去の成長率だけを見るのも注意が必要です。
単純に成長率だけを見るのではなく、「なぜ成長したのか」まで考えることが大切です。
3.シェアが高いメリット・デメリット
シェアが高いということは、多くの介護事業所でソフトが導入されているということです。
そこで多くの人は、「多くの事業所で使われているから、メリットだらけなんじゃないの?」と考えますが、実際はそうではありません。
確かにメリットも多々ありますが、同時にデメリットも存在します。
筆者自身、某大手介護ソフトメーカー出身のため、シェアが高いことのメリット・デメリットは肌身で感じてきました。
そのような経験も踏まえて、まずはメリットに関して説明していきます。
シェアが高いことによるメリット
メリットは次の4つです。
① 介護ソフト事業を撤退する可能性が低くなる
シェアが高い介護ソフトメーカーほど、事業撤退の可能性は低いと考えられます。
なぜなら、シェアが高いメーカーの多くは年間売上だけではなく、内部留保も多いため、経営が安定しているためです。
例えば、シェアランキング4位のカナミックは安定した売上と利益により、東証1部に上場しています。
カナミック曰く、シェアが高いほど有利な「ストック型ビジネス」のため、安定した収益を上げられているとのことです。
② 介護ソフトの操作経験者が入社する可能性が高くなる
「私、前の職場でその介護ソフトを使用していました!」というケースは珍しくありません。
シェアが高いほどそのようなことが起こります。
もし新たに入社した職員が操作経験者であれば、研修時間とコストを費やす必要がなくなります。
③ シェアが高いメーカーは新商品のリリース頻度が比較的多い
シェアが高いメーカーは新商品を積極的にリリースしています。
それは、既存顧客が多いため「この新商品であれば、◯%のユーザーに買ってもらえるだろう」と売上予測が立てられるためです。
例えば、シェアランキング1位のNDソフトウェアはメインシステムである「ほのぼのNEXT」だけではなく、送迎システム「ほのぼのNAVI」やデジタルインカム「ほのぼのTALK」など数多くの製品をリリースしています。
このように、新商品に関しては、未開拓の事業所に販売するよりも、既存顧客に販売しやすいため、シェアが高いほど新商品をリリースしやすいといえるでしょう。
④ 法改正の対応スピードが早い
法改正に頭を悩ませる介護事業所は多いですが、それは介護ソフトメーカーも同様です。
短期間でプログラムを書き換えなければならないため、メーカー側には法改正を乗り切るだけの開発人員が必要になります。
その点において、シェアが高いメーカーほど開発人員が足りている傾向があるため、結果的に法改正の対応スピードが早くなります。
シェアが高いことによるデメリット
続いてデメリットを見ていきましょう。
① 要望への対応スピードが遅い
「もっとこの機能を使いやすくしてほしい」といった事業所からメーカーへの要望に対して、シェアが高いメーカーほど対応スピードが遅くなります。
場合によっては、全く対応しないということも往々にしてあります。
なぜなら、1つ機能を追加したり、改修したりすることで、その影響は全ての既存ユーザーに及ぶためです。(カスタマイズ専用の介護ソフトは例外です)
要望数が多ければ「これは市場が求めている機能」と認識し、優先的に対応していきますが、要望数が少なければ対応するリスクの方が大きいと判断します。
このように、良くも悪くもリスクとリターンを熟考した上で行動するため、要望への対応スピードも遅くなる傾向があります。
4.シェアだけで介護ソフトを選ぶのは危険な理由(大手だからいいわけではない)
シェアだけで介護ソフトを選ぶのは危険です。
なぜなら、「シェア率が高い=良いソフト」とは限らないからです。
最も重要なのは、数ある介護ソフトの中からあなたの事業所にピッタリの介護ソフトを見つけることです。
とはいえ、介護ソフトの選び方といっても、なかなか経験はないかとは思いますので、本記事では簡単に介護ソフトの選び方をご紹介します。
もし最適な1社に出会うことができれば、現状よりも大幅な業務改善ができる上、残業時間の圧縮、離職率の低下、研修時間の削減など様々な恩恵を受けることができます。
さて、介護ソフトの選び方で抑えておきたい流れは次の通りです。
【手順①】対応している介護ソフトを探す
【手順②】機能・価格・口コミ評価で選ぶ
【手順③】デモンストレーションを3〜5社受ける
【手順④】介護ソフト選定会議を行う
【手順①】対応している介護ソフトを探す
まずは、あなたの事業所に対応している介護ソフトを探しましょう。
介護ソフトは約100種類も存在していますが、あなたの事業所に対応している介護ソフトはせいぜい多くても30社程度です。
その時点で候補を100から30まで減らすことができます。
しかし、事業種別によっては、100社→40社ということもあれば、いきなり100→10社まで絞り込まれる事業種別もあります。
いずれにせよ、まずは該当する介護ソフトを抽出することが第一になります。
【手順②】機能・価格・口コミ評価で選ぶ
次は介護ソフト毎に大きく異なる部分「機能・価格・口コミ」でさらに候補を絞り込んでいきます。
とはいえ、介護ソフトメーカーのホームページを見ても強み・弱みがわかりにくいといった問題点にぶつかる方も多いので、介護ソフトの一括資料請求を行い、介護ソフトの資料が手元に揃った状態で、じっくりと機能と価格を比較しましょう。
また、口コミ評価に関しては本サイトでしかわからないため、「資料+本サイト」を併用しながら、さらに数を絞り込んでいきます。
大体、5社程度まで絞り込むことができれば、次はいよいよデモンストレーションを受けます。
【手順③】デモンストレーションを受ける
介護ソフトのデモンストレーションを受ける前に「事業所が抱えている課題」をできる限り明確にしておくことが重要です。
もし課題があらかじめハッキリしていれば、メーカー営業がデモの際に語る「メリット」が本当にあなたにとってメリットかどうかが分かります。
一見メリットに見えるような機能でも、「導入してみたら結局使わなかった」ということはよく発生します。
また、課題を明確にしておくことにより、あなたが繰り出す質問のレベルを高くすることができます。
当日のデモは30分〜1時間程度に抑え、できれば複数名でデモを受けるようにしましょう。
そして、デモの最中には「メリット・デメリット・気になること」などを全て書き出しておきましょう。
デモが終わったら、各介護ソフトメーカーに見積依頼を行い、次の【手順④】に移ります。
【手順④】介護ソフト選定会議を行う
ここまでくれば、あなたの手元には複数社のカタログと、見積書、そして「メリット・デメリット・気になること」をまとめた資料があるはずです。
それらの材料を元に、複数の職員で介護ソフト選定会議を行います。
ここでも重要なのが「事業所が抱えている課題」を解決できる介護ソフトかどうかです。
また、ただ課題が解決できるだけではなく、コストパフォーマンスに優れているかどうかまで考慮して選定しましょう。
もし会議が1回で完結しなければ、会議を複数回に分けて開催してもいいですし、場合によっては【手順①】から再スタートしてもいいです。
最も重要なのは「後悔しないこと」です。そのためには、しっかりと納得いくまで介護ソフトを選ぶ必要があります。
もし、職員全員が納得し、1つの介護ソフトを導入することができれば、得られる効果は非常に大きくなります。
失敗しない介護ソフト選びを実現するためにも、今回の内容をぜひ参考にしてみてください。
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